快適住まいを宣伝するマンション建設で対処する住宅・住居の課題
戦後の焼け野原の中でバラックのような建物に住み、その日暮らしの日常生活を送りながら徐々に落ち着きを取り戻してくるのに長い年月を要しましたが、持ち前の勤勉さと粘り強さを発揮して昭和30年前後から景気動向が上昇軌道に乗ってくると、それまで3大都市圏では寄り添うように生活していたバラックを建て替える傾向が徐々に出てきたのです。衣食住の中で最も費用のかかる住まいを建てる気力が出てきたので、この頃から各家庭でも住宅・住居の問題に目を向けて住まいの質を良くしていこうと考えだしたのだと思います。その後、高度経済成長時代を迎え、更に、東京オリンピック開催を契機として首都圏へ全国から働く者が集中することになると、急増する人口に対する住宅と生活を確保するインフラ対策が一気に必要になり、各地で住宅団地の造成、開発と生活に必要なエネルギー、上下水道等のインフラ整備や鉄道建設等が進みました。まさに、住宅・住居の課題を短期間のうちに一気に解決しなければならない時期だったので、国も自治体も長期的視点で再開発する間がなかったと思います。従って、首都圏全体を大改造する視点が欠けていたために今日に至るまで首都圏の住宅・住居の課題は必要のつど、国や自治体の財政出動を元に、駅周辺などの密集した地域が再開発されて生まれた土地の上にディベロッパーによるマンション建設が進められ、快適な住環境提供を宣伝し続けてきたわけです。
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